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渡す一瞬に、言うことがあるか
手土産の酒は、選び終えたあとに困る。玄関先で紙袋を差し出す数秒、添えようとした一言が出てこない。四合瓶は見た目より重く、袋越しでも瓶の肩は冷たく、相手は両手で受け取る。その重さの分だけ、黙って渡すと間が持たない。渡す一瞬に言うことを、名前が持っている酒がある。
渋川の蔵は聖酒造
渋川市北橘町下箱田の聖酒造の一本なら、言うことは決まっている。天保12年から続く蔵で、代表銘柄をかんとうのはなという。屋号の「聖」は、万葉歌人の大伴旅人が酒を讃えて詠んだ歌「酒の名を 聖と負ほせし古の 大き聖の言の宣しさ」から採られた一字である。酒をほめた歌の一字が、いま相手の両手に載っている瓶の名に付いている。由来をそのまま口にすれば、それがそのまま一言になる。
家で開けるなら、かんとうのはな 純米吟醸がある。
PR かんとうのはな 純米吟醸 聖酒造(群馬県渋川市)20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。
法師温泉と四万温泉の宿
同じ「国の登録」でも、登録されているものが違う。長寿館は本館・法師乃湯・別館の3棟が国の登録有形文化財で、湯屋そのものが登録に入っている。積善館は元禄7年から続く桃山様式の国の登録文化財である。片方は湯に入っている時間が、片方は建物の中にいる時間が、そのまま登録されたものの中で過ぎる。