誰の供給でもないものが、九十五年ぶんそこに建っていた。
名古屋遠征の翌日、帰りの新幹線をあえて取らずに、飛騨川を遡って下呂の宿へ向かう。昭和六年築、五万坪の敷地にただ建ち続ける木造三階建てで、誰の供給でもないものに触れる。数えても減らない現場の記憶を、俺はどこまで数え続けるか。
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この宿に泊まる一晩を、小説にしてある。
誰の供給でもないものが、九十五年ぶんそこに建っていた。
名古屋遠征の翌日、帰りの新幹線をあえて取らずに、飛騨川を遡って下呂の宿へ向かう。昭和六年築、五万坪の敷地にただ建ち続ける木造三階建てで、誰の供給でもないものに触れる。数えても減らない現場の記憶を、俺はどこまで数え続けるか。
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