宿と小説の読みもの、余白
RECORD № 092

現場以外で会う

他人の物語を燃料にして、自分の予定表の空白とどう向き合うか

予定表が埋まっているうちは、何も考えなくていい。遠征と配信で週末は先まで塞がっている。空白があると、もったいない、と思う。その「もったいない」が何を指しているのかは、まだ考えないことにしている。

悠真という語り手について →

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何年ぶり

遠征が無くなって以来、会わなくなっていた。会う場所が、なくなったからだ。何年ぶりかを数えようとして、数え方が分からなかった。遠征の回数で数えるものだったから。回数がゼロになった年からは、数え方を持っていない。

送迎なし

津山駅のバス乗り場で、順番を待つあいだ、前に並んだ人が、大きな荷物を何度も持ち替えていた。宿は、津山駅からバスで六十分だという。送迎はない。相手が、遠征のときはいつも現地集合だったな、と言った。今回も、結局そうなった。

画像はイメージです

足元湧出

湯船の底が、砂利だった。足を置くと、下から何かが上がってくる感じがある。相手が、遠征の現場でしか会ったことがないのに、こんなところで裸で並んでるの変だな、と言った。俺も、そう思った。そう思った、とだけ答えた。

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十九時

夕食提供が十九時までだと聞いていたので、余裕を持って着いた。会席が出た。皿と皿の間で、遠征の頃の話になった。誰が来ていたか、何列目だったか。細部は、二人とも正確に覚えていた。現場の記憶は、なぜか薄れない。

現場以外の話は、あまり出なかった。出なかったことに、俺は気づいたが、指摘しなかった。指摘すると、何かが終わる気がした。

数え方

朝、もう一度湯に入った。相手が、次はいつだろうな、と言った。俺は、遠征の予定次第だな、と答えかけて、やめた。遠征次第にしたら、また会わなくなる。

「遠征、関係なく決めるか」と言った。相手が、それでいい、と答えた。

数え方を、変えることにした。何年ぶり、ではなく、次はいつ、で数える。数え方を変えただけで、何も解決していない。それでも、変えた。

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Field Notes

登録有形文化財の宿 名泉鍵湯 奥津荘

Overview

岡山県
Region
岡山県苫田郡鏡野町奥津(奥津温泉)
Access
津山駅からバス約60分またはタクシー約40分。送迎なし(駐車場サービスあり)
Price
予約サイトで確かめた八万円台半ば〜(1名1室・夕朝食付) 2名1室での実測四万円台前半〜(2名1室の1名分・夕朝食付) 公開の情報から高価格帯(2名税込 夕朝食付七万円台前半〜。1名あたり三万円台半ば〜)

Facility

Room
全8室。和モダン洋室(ツイン24平米)/ 渓流沿いマッサージチェア付和モダン洋室(ツイン30平米)/ 渓流沿いマッサージチェア付和モダン和室。露天風呂付客室は2室
Meal
会席形式。夕食提供のため19:00までの到着が必要

宿タイプ

  • 温泉旅館
  • 文化財の宿
  • 秘湯
  • 露天風呂付き客室
  • 小規模宿

向いている人間

  • 何年かぶりに友人と再会したい人
  • 足元湧出という湧き方の湯に入りたい人
  • 全8室の規模で他の客と動線が重なりにくい環境を求める人

向いていない人間

  • 公共交通での到達を前提にする人(津山駅からのバス本数が少なく、送迎もない)
  • 東京から短時間で着きたい人
  • 19時より遅く到着する予定の人(夕食提供に間に合わない)

予約前の注意事項

津山駅からのバスは本数が少なく、宿の送迎はない。夕食提供のため19:00までの到着が必要。チェックアウトは10:00。料金は変動する。

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