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何年ぶり
遠征が無くなって以来、会わなくなっていた。会う場所が、なくなったからだ。何年ぶりかを数えようとして、数え方が分からなかった。遠征の回数で数えるものだったから。回数がゼロになった年からは、数え方を持っていない。
送迎なし
津山駅のバス乗り場で、順番を待つあいだ、前に並んだ人が、大きな荷物を何度も持ち替えていた。宿は、津山駅からバスで六十分だという。送迎はない。相手が、遠征のときはいつも現地集合だったな、と言った。今回も、結局そうなった。

足元湧出
湯船の底が、砂利だった。足を置くと、下から何かが上がってくる感じがある。相手が、遠征の現場でしか会ったことがないのに、こんなところで裸で並んでるの変だな、と言った。俺も、そう思った。そう思った、とだけ答えた。

十九時
夕食提供が十九時までだと聞いていたので、余裕を持って着いた。会席が出た。皿と皿の間で、遠征の頃の話になった。誰が来ていたか、何列目だったか。細部は、二人とも正確に覚えていた。現場の記憶は、なぜか薄れない。
現場以外の話は、あまり出なかった。出なかったことに、俺は気づいたが、指摘しなかった。指摘すると、何かが終わる気がした。
数え方
朝、もう一度湯に入った。相手が、次はいつだろうな、と言った。俺は、遠征の予定次第だな、と答えかけて、やめた。遠征次第にしたら、また会わなくなる。
「遠征、関係なく決めるか」と言った。相手が、それでいい、と答えた。
数え方を、変えることにした。何年ぶり、ではなく、次はいつ、で数える。数え方を変えただけで、何も解決していない。それでも、変えた。
