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三度目のあと
八月に、班のグルチャの通知を切った。切ったのは初めてだった。切ってから、三日、誰からも個別に来なかった。画面を開いて、閉じた。開いて、閉じた。充電が朝までもたなかった。
四日目に、一行来た。班の一人からだった。
個別に一行を送り合うのが、三度続いた。三度目のあと、四度目を待たずに、俺は宿を取った。班のグルチャの外で、二人だけで泊まるのは、これで二度目になる。
親友、という言葉を、まだ使っていない。使わないまま、三度目の一行が、四度目になった。
一泊の額を、現場何回ぶんかに直した。二回半。遠征じゃないところに二回半を使うのは、初めてだった。
全部で十室、すべて離れの棟だという。棟が離れているぶん、誰にも見られない。
送迎
鳥羽駅の待合で、送迎の車を待った。隣のベンチで、手帳が閉じられて、その上にスマホが伏せて置かれた。男が一人、そのまま動かない。俺は、伏せたほうを見ていた。
相手が、こういうところ、遠征で来たことないな、と言った。俺も、ない、と答えた。
遠征のときは、駅を出たら歩く向きが決まっている。ここは決まっていない。俺は椅子で、荷物を膝に載せたままでいた。降ろす場所も、決まっていない。

離れ
送迎の車で、宿の人が、お友達同士でいらっしゃいますか、と聞いた。
友達、では足りない。班、と言っても通じない。窓の外は堤防で、俺はそっちを見ていた。宿の人はバックミラーでこっちを見ている。
はい、と相手が答えた。俺より先だった。
窓の外に鳥羽湾があった。相手が、写真、撮らないのか、と聞いた。俺は、今日はいい、と答えた。
部屋の卓
夕食は部屋に来た。会席を選べるプランだった。食べながら、班の話を少しした。抜けた二人の名前を出しかけたところで、戸が開いて次の皿が来た。
置いて、下がるまで、二人とも黙っていた。戸が閉まってから、相手が、で、と言った。俺は、いや、と答えた。話は戻らなかった。

隣の棟の湯の音は、聞こえない。グルチャは、いつも誰かが喋っている。喋っていない場所に、俺は二時間いた。
湯上がりに、露天で並んで座った。部屋のほうで、相手のスマホが鳴った。三回鳴って、止まった。少し置いて、また鳴って、止まった。
相手は取りに行かなかった。俺も、自分のを取りに行かなかった。俺のは、湯に入る前から音を消してある。消してあることを、言わなかった。
相手が、これからも、遠征があってもなくても会うか、と聞いた。俺は、少し考えて、会う、と答えた。
四度目の先
朝、送迎で駅へ戻った。相手が、次はグルチャに書くか、それとも今までどおり個別にするか、と聞いた。俺は、個別で、と答えた。理由は言わなかった。相手も、聞かなかった。
帰りの電車で、グルチャの通知を戻した。戻してから、個別のほうを、一番上に固定した。
親友、という言葉は、今日も使わなかった。五度目の約束だけが、先に決まっている。
充電は六割残っていた。
