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「誘いたい人はいる。用事が無いと、切り出せない。」
誘いたい人がいるのに、用事が無いと切り出せない日に
誘う文面を打っては、用件を一行足してから送ってしまう、そういう日に読む話を並べています。
並んでいるのは、実在の宿を舞台にした連載小説です。語り手は実在しません。
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誘いたい人はいるのに、いざ打つと、用件が一行足りない気がする。予定の話か、近くまで行く話を先に付けて、それから誘いの文にしている。そういう晩は、用件を足さずに送った人の話を、一つだけ読んでみませんか。ここに並べたのは、理由のつかない誘いをした七つの話です。

克彦早期退職した元管理職たとえば、早期退職した元管理職の克彦は、人を動かす紙を長く作ってきたので、誘う言葉もその形になります。その晩は、誘うために刷った紙を途中で裏返して、そこから先を口で言います。

有希会社員でも、誘われる側に回ることもあります。会社員の有希は、実家の話のときにしか会わない兄から、用事の無い誘いを受けました。その晩は、理由を聞かないまま、鞄から何も出さない相手の向かいに座っています。

奈緒フードデリバリーの配達員同じ誘うでも、切り出す前に詰まることがあります。フードデリバリーの配達員の奈緒は、自転車の鍵しか持っていない自分に、祖母を駅から先へ運ぶ手段が無いと気づきました。その晩は、帰りの迎えの時刻を、自分で選び直します。

悠真IT企業勤務・推し活に生きる会社員もう少し先まで行くと、誘う相手が家族でない人もいます。IT企業に勤める悠真は、集まりの外で会うようになった相手を、まだ親友と呼んでいません。その晩は、鳴っている電話を取りに行かないまま、並んで座っています。
ほかに、この頁でまだ紹介していない三人の話があります。相手は姉と、娘と、妻で、三人とも、前に紹介した人とは別の人です。誘う言葉に理由をつけないまま一晩が終わるところだけが、三本に共通しています。
『母の話はしない』志乃 『一本の時刻表』修一 『部屋を出ない理由』大輔今夜の一話
克彦 — 早期退職した元管理職 切符は二枚 退職して長い克彦が、初めて妻を旅に誘う。誘う言葉を書くつもりだった食卓に、行程と持ち物の紙が先に並んでしまった晩である。 この語り手が人を誘う側に回る話の一本目で、前を読んでいなくても分かります。持ち物の案まで刷った時点で、これは誘いではなく起案だった。この一話を読む
舞台になった宿
『切符は二枚』の舞台は、強羅花扇。
PR 強羅花扇の空室を見る Expedia (外部サイトが新しいタブで開きます)そのほかの話
誘う相手が親である晩は、『親のことを考えた帰り道に』へ続けて読めます。
この状態に、ひとつ
口実を立てずに集まるための宿を並べた面なので、誘う理由を先に用意しなくて済みます。
『きょうだいと、口実がなくても集まる宿』