宿の選び方
稼働を空けた日数だけ行ける。坂と段数は、着く前に数えておく。
見るもの
- 駅からの段数と坂
- 自転車を置ける場所
- 建物の裏口
小説からの引用
「雪の日は、単価が上がる。あたしの仕事では、雪は金になる。」
自転車で街を走って生きている。先週の走行距離はアプリが憶えているが、通った道は一つも憶えていない。店の名前ではなく、番地と入口の形で街を憶える癖がついた。休む日を自分で決められる働き方のはずが、決めているのは単価と天気だと、うすうす気づいている。
休む日は自分で決められるはずが、決めているのは単価と天気だ。職場も同僚もなく、辞めても誰にも報告しなくていい。走った記録はアプリの中にだけ残り、自分の記憶には街の名前がひとつも残らない。
はじめに読む一篇
年譜
10 話- 連載のなかの時間
- 2027年8月 — 2028年11月(15か月)
- 泊まった回
- 10 回
- あいだ
- 平均 1.7 か月
- № 055 2027年8月 初出 停める場所を探した 大友屋旅館 — 山形県最上郡大蔵村 一万円台前半〜(1名1室・夕朝食付) 「戻って、髪を乾かそうとしたら、ドライヤーが無かった。タオルで挟んで、窓を開けた。八月なのに涼しくて、腕にすぐ鳥肌が立った。」
- № 062 2027年10月 前の回から 2 か月 長くいるほど、安い 栃尾又温泉 自在館 — 新潟県魚沼市 一万円台後半〜(1名1室・夕朝食付) 「湯から上がって、鍵を開けようとしたら、指紋が通らなかった。ふやけていた。三回やって、番号で開けた。」
- № 114 2027年11月 前の回から 1 か月 歩いて来た人 満ちてくる心の宿 吉夢 — 千葉県鴨川市 一万円台前半〜(1名1室・条件不明) 「海の面が、湯の面より高いところにある。そう見えるだけだと分かっているが、しばらくそう見えた。」
- № 118 2028年1月 前の回から 2 か月 七百八十円 源蔵の湯 鳴子観光ホテル — 宮城県大崎市 一万円台前半〜(1名1室・条件不明) 「雪の日は、単価が上がる。あたしの仕事では、雪は金になる。」
- № 067 2028年2月 前の回から 1 か月 百五十四メートル ホテル浦島 — 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町 一万円台前半〜(1名1室・条件不明) 「あたしの脚は、その間ずっと使われなかった。」
- № 082 2028年4月 前の回から 2 か月 二で割る 熱海後楽園ホテル — 静岡県熱海市 二万円台前半〜(1名1室・条件不明) 「一人で行くほうが、七千円高い。」
- № 079 2028年6月 前の回から 2 か月 出ない一日 忘れの里 雅叙苑 — 鹿児島県霧島市 六万円台後半〜(1名1室・夕朝食付) 「今度は飛行機だと言うと、祖母は、あたしが乗ったことないのに、と笑った。」
- № 080 2028年8月 前の回から 2 か月 車が無い 須賀谷温泉 — 滋賀県長浜市 二万円台半ば〜(1名1室・夕朝食付) 「祖母が、色を見て、これで大丈夫なのか、と聞いた。大丈夫です、と仲居が答えた。」
- № 081 2028年10月 前の回から 2 か月 次の八十歳 大丸別荘(二日市温泉大丸別荘) — 福岡県筑紫野市 三万円台半ば〜(1名1室・夕朝食付) 「祖母は、乾杯のあと、長生きするつもりはなかった、とだけ言った。」
- № 112 2028年11月 前の回から 1 か月 一日ぶん 旬の料理とお湯の宿 常盤荘 — 宮崎県都城市 一万円台前半〜(1名1室・素泊まり) 「空けたのは、戻る一日ぶんだけである。」
宿の取り方
10 泊ぶん- 額の帯記録を書いた時点
- 一万円台前半 〜 六万円台後半 多いのは 一万円台(6 回)
- 土地
- 10 県
- 一人で
- 10 回のうち 6 回
承知のうえで取った宿が、持っていたもの。
- 男女入れ替え制 — 大友屋旅館、栃尾又温泉 自在館、忘れの里 雅叙苑、須賀谷温泉
- 湯の時間が決まっている — 大友屋旅館、栃尾又温泉 自在館、須賀谷温泉
- 露天風呂がない — 大友屋旅館、忘れの里 雅叙苑、大丸別荘(二日市温泉大丸別荘)
- 加水または加温がある — 須賀谷温泉、大丸別荘(二日市温泉大丸別荘)
- 客室にトイレがない — 大友屋旅館、栃尾又温泉 自在館
- 送迎が予約制 — 栃尾又温泉 自在館、満ちてくる心の宿 吉夢
- アメニティを置いていない — 大友屋旅館
- 公共交通が一日数本 — 大友屋旅館
- 送迎の便が決まっている — 栃尾又温泉 自在館
- 冬季に道が閉じる — 須賀谷温泉
- 冷暖房が有料 — 大友屋旅館
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夜話が、この人の記録をどの晩に置いたか