宿と小説の読みもの、余白
人物録

有希ゆき

会社員発表 11 篇

選ばなかった人生を説明しない、静かな肯定

宿の選び方

選ぶ基準が、宿の側に無い。遠さ、近さ、空いている平日、母の丸印。

見るもの
  • 便の数と、祝日の並び
  • 書いてあることと、書いていないこと
  • 季節と、庭の草
小説からの引用

「理由は書かれていない。並べただけで、千年が経っている。」

『丸をつける』より →

子を持たない生き方を選んだ。そこに至る道のりを、誰にも説明しない。説明しないことは、隠すことではない。他所の物差しで測られない練度が、少しずつ上がっている。

世間の物差しは請求書のように届くが、支払わないと決めている。この話題は言い返す人の声ばかりが表に出て、黙って決めている側の声は出てこない。説明しないことは、隠すことではない。

城崎温泉 三木屋(兵庫県豊岡市) 「五時間は長い。長いのがよかった。」

年譜

11 話
連載のなかの時間
2026年7月 — 2029年6月(35か月)
泊まった回
11 回
あいだ
平均 3.5 か月

  1. № 010 2026年7月 初出 遠いほうの切符を買う 城崎温泉 三木屋 — 兵庫県豊岡市 三万円台前半〜(2名1室の1名分・夕朝食付) 「五時間は長い。長いのがよかった。」
  2. № 021 2026年10月 前の回から 3 か月 名前をつけない庭 皆美館 — 島根県松江市 三万円台後半〜(1名1室・夕朝食付) 「庭の灯りが、水面に落ちていた。落ちた灯りが、風で少し動いた。」
  3. № 032 2026年12月 前の回から 2 か月 六つのうちの、ひとつ はなれ宿 善積 — 静岡県伊東市 三万円台半ば〜(1名1室・夕朝食付) 「隣の棟が、木の向こうに屋根だけ見えた。見えるが、中は見えない。その距離が、設計されている。」
  4. № 046 2027年4月 前の回から 4 か月 丸のついたページ 旅館 國崎 — 長崎県雲仙市 一万円台半ば〜(1名1室・素泊まり) 「説明はしない。理由も書かない。丸をつけていた、それだけを持ち帰った。」
  5. № 058 2027年9月 前の回から 5 か月 説明はしない、と決める 須賀谷温泉 — 滋賀県長浜市 二万円台半ば〜(1名1室・夕朝食付) 「湯は赤茶色で、腕を入れると肘から先が消えた。消えたところは、見えないだけで、ある。」
  6. № 097 2027年11月 前の回から 2 か月 桑の木 板室温泉 大黒屋 — 栃木県那須塩原市 二万円台後半〜(1名1室・条件不明) 「空白の欄は、はがきの上では空白のままでいられる。人の前では、そうはいかない。」
  7. № 120 2028年1月 前の回から 2 か月 丸をつける 湯元 榊原舘 — 三重県津市 二万円台半ば〜(1名1室・条件不明) 「理由は書かれていない。並べただけで、千年が経っている。」
  8. № 103 2028年4月 前の回から 3 か月 二十七通り 第一滝本館 — 北海道登別市 一万円台後半〜(1名1室・条件不明) 「減らないと、こちらが選ぶことになる。」
  9. № 074 2028年12月 前の回から 8 か月 数えていない 陶泉 御所坊 — 兵庫県神戸市 六万円台前半〜(1名1室・夕朝食付) 「「有馬、行かないか」とだけ言った。理由は聞かなかった。」
  10. № 075 2029年2月 前の回から 2 か月 特に用は無い 秩父七湯「御代の湯」 新木鉱泉旅館 — 埼玉県秩父市 「「特に用は無いけど」と言った。前置きだった。前置きなのに、それで全部だった。」
  11. № 109 2029年6月 前の回から 4 か月 七百八十五段 ことひら温泉 琴参閣 — 香川県仲多度郡琴平町 一万円台後半〜(1名1室・夕朝食付) 「上がって、脱衣所に体重計があった。乗った。針が動くのを待たずに降りた。数字は見ていない。」

宿の取り方

11 泊ぶん
額の帯記録を書いた時点
一万円台半ば 〜 六万円台前半 多いのは 一万円台(3 回)
土地
10 県 二度以上 — 兵庫県(2)
一人で
11 回のうち 9 回

承知のうえで取った宿が、持っていたもの。

  • 加水または加温がある — 城崎温泉 三木屋、皆美館、はなれ宿 善積、旅館 國崎、須賀谷温泉、秩父七湯「御代の湯」 新木鉱泉旅館
  • 湯の時間が決まっている — 城崎温泉 三木屋、皆美館、旅館 國崎、須賀谷温泉、陶泉 御所坊、秩父七湯「御代の湯」 新木鉱泉旅館
  • かけ流しではない — 城崎温泉 三木屋、はなれ宿 善積、秩父七湯「御代の湯」 新木鉱泉旅館
  • 送迎が予約制 — 秩父七湯「御代の湯」 新木鉱泉旅館、板室温泉 大黒屋、湯元 榊原舘
  • アメニティを置いていない — 城崎温泉 三木屋、秩父七湯「御代の湯」 新木鉱泉旅館
  • 送迎の便が決まっている — 板室温泉 大黒屋、湯元 榊原舘
  • 駅から歩けない — 旅館 國崎
  • 客室にトイレがない — 秩父七湯「御代の湯」 新木鉱泉旅館
  • 混浴がある — 陶泉 御所坊
  • 貸切風呂が有料 — 秩父七湯「御代の湯」 新木鉱泉旅館
  • 男女入れ替え制 — 須賀谷温泉
  • 冬季に道が閉じる — 須賀谷温泉
  • 露天風呂がない — 城崎温泉 三木屋

別の順で読む

4 通り
土地で選ぶ10

同じ県に二度行っていることがある

誰と行ったかで選ぶ2
額で選ぶ4

記録を書いた時点の帯

状態で選ぶ4

夜話が、この人の記録をどの晩に置いたか

すれ違い

2 箇所

小説のなかで、この宿を選んだときの一言 「部屋の湯に加水があると、書いてあった。書いてある宿を選んだ。」

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