宿と小説の読みもの、余白
人物録

かえで

元雑誌編集者発表 8 篇

仕事を機械に明け渡したあと、何が自分に残るか

宿の選び方

近いことと、安いこと。その二つを満たしたうえで、揃っていないものが残してある宿を選ぶ。

見るもの
  • 手仕事の不揃い
  • 貼り紙の言葉づかい
  • 人の顔色
小説からの引用

「湯が、一晩じゅう落ちていた。私が見ているあいだも、寝ているあいだも、同じ量が落ちていた。」

『揃っていないものに、赤は入れない』より →

長く雑誌の編集をしていた。その仕事の大半は、いま機械がやっている。フリーの校正者になって、ゲラの角を撫でて直す癖だけが手に残った。編集者だった自分との距離を、まだ測りかねている。

発注する側は少しずつ準備をしていたのに、される側の自分には、変化は突然だった。好きだった仕事と食える仕事が、別々の方向へ離れていく。

強羅花扇(神奈川県箱根町) 「乗り換えの数だけ、遠くへ行ける気がした。」

年譜

8 話
連載のなかの時間
2026年5月 — 2028年4月(23か月)
泊まった回
8 回
あいだ
平均 3.3 か月

  1. № 001 2026年5月 初出 新緑に、赤字は入れない 強羅花扇 — 神奈川県箱根町 四万円台後半〜(2名1室の1名分・夕朝食付) 「乗り換えの数だけ、遠くへ行ける気がした。」
  2. № 011 2026年7月 前の回から 2 か月 通した一行の、遠さ 岩井温泉 岩井屋 — 鳥取県岩美町 一万円台後半〜(1名1室・素泊まり) 「湯は、私が見ていないあいだも落ちていた。」
  3. № 022 2027年1月 前の回から 6 か月 線路の引かれていない村 静響の宿 山水 — 奈良県十津川村 一万円台半ば〜(1名1室・夕朝食付) 「その村の名前が五回出てきて、五回とも、著者は「鉄道のない村」と書いていた。」
  4. № 048 2027年4月 前の回から 3 か月 赤を入れたい文章 きのえ温泉 ホテル清風館 — 広島県豊田郡大崎上島町 二万円台前半〜(1名1室・夕朝食付) 「均一でないものには、値段のつけ方がない。値段のつけ方がないものを、今日は一つ選んだ。」
  5. № 060 2027年9月 前の回から 5 か月 持っていくものが増えた 湯之元温泉 — 宮崎県西諸県郡高原町 一万円台前半〜(1名1室・夕朝食付) 「石けんが無い。シャンプーも無い。無い、と書いてあるとおりに無かった。」
  6. № 065 2027年10月 前の回から 1 か月 赤を入れるところ 伊良湖温泉 和味の宿 角上楼 — 愛知県田原市 二万円台前半〜(1名1室・条件不明) 「自分の欠点を先に書いてある文章には、赤を入れるところがない。」
  7. № 121 2028年2月 前の回から 4 か月 いい言葉に線 華やぎの章 慶山 — 山梨県笛吹市 一万円台前半〜(1名1室・条件不明) 「赤は、間違っているところに入る。間違っていないところに引いた線は、赤ではない。」
  8. № 126 2028年4月 前の回から 2 か月 二通りに書いてあった 亀山温泉ホテル — 千葉県君津市 一万円台半ば〜(1名1室・朝食付) 「これは私のゲラではない。赤を入れる場所がない。」

宿の取り方

8 泊ぶん
額の帯記録を書いた時点
一万円台前半 〜 二万円台前半 多いのは 一万円台(5 回)
土地
8 県
一人で
8 回とも

承知のうえで取った宿が、持っていたもの。

  • 加水または加温がある — 強羅花扇、静響の宿 山水、きのえ温泉 ホテル清風館、湯之元温泉
  • 湯の時間が決まっている — 強羅花扇、岩井温泉 岩井屋、静響の宿 山水、きのえ温泉 ホテル清風館
  • アメニティを置いていない — 静響の宿 山水、湯之元温泉
  • かけ流しではない — 強羅花扇、きのえ温泉 ホテル清風館
  • 送迎が予約制 — 湯之元温泉、伊良湖温泉 和味の宿 角上楼
  • 男女入れ替え制 — 岩井温泉 岩井屋、湯之元温泉
  • 駅から歩けない — きのえ温泉 ホテル清風館
  • 客室にトイレがない — 静響の宿 山水
  • 客室に風呂がない — 亀山温泉ホテル

別の順で読む

2 通り
土地で選ぶ8
額で選ぶ2

記録を書いた時点の帯

すれ違い

3 箇所

この人が選んだ宿

1 本

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