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供給なし
活動休止から、二年になる。班のグルチャは二十三人のまま止まっていて、供給の話をしなくなって、どれくらい経つか、俺は数えていない。数えていないことに、自分で驚いた。
この相手と、供給の話をせずに一晩過ごしたことは、一度もなかった。試したことがなかった。試すのが怖かったわけではない。単に、その必要がなかっただけだ。今回、初めて必要になった。
大橋
松江駅のロータリーで、バスを待つ列の先頭に、大きな鞄を提げた旅行客が立っていた。時刻表と腕時計を、何度も見比べていた。バスで大橋を渡って、宿に着いた。宍道湖が見える部屋だった。窓の外の水の色を、相手が、東京の川と違うな、と言った。俺は、そうだな、としか言えなかった。

話すことがない時間
夕食は、鯛めしが出た。松江藩主ゆかりだと、給仕の人が説明してくれた。食べながら、俺は次に何を話すか考えていた。いつもなら、供給の話に戻る。今日は、戻れなかった。
沈黙が、思ったより長く続いた。長い沈黙を、俺は苦手にしている。苦手にしていることを、今日初めて自覚した。

夜更かし
湯上がりに、庭の見える廊下で、二人で座った。相手が、遠征に行かなくなってから何をしてるか、と聞いた。俺は、何もしてない、と答えた。答えてから、それが正確じゃないと気づいた。何もしていないわけではない。ただ、数えるものがなくなっただけだ。
「俺も」と相手が言った。「数えるものがなくなった」
供給がないと話すことがない、と思っていた。話すことがない時間を、二人で持て余さなかった。持て余さなかった理由を、俺はまだ言葉にできない。
湖の灯りが、水面で揺れていた。それを見ながら、二人とも、しばらく黙っていた。黙っていることが、気まずくなかった。
朝
朝食は、庭に面した部屋でとった。昨日話したことの半分も、たぶん覚えていない。覚えていないことを、二人とも気にしなかった。
駅へ戻るバスの中で、相手が、また来るか、と聞いた。俺は、遠征の予定、入れずに、と答えた。相手が、それでいい、と言った。それでいい、という言い方に、俺は少し驚いた。
