宿と小説の読みもの、余白
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個室のふすまを閉めた瞬間、声のトーンが変わった。

そういう部屋の話をします。親友と二人で泊まると決めたとき、先に浮かぶのは食事でも湯でもありません。何を話すか、です。

久しぶりに会う相手なら、最初の一時間は昔の話で埋まります。そこは盛り上がります。困るのはそのあとで、今の話になった途端に噛み合わなくなることがあります。勤め先のこと。家のこと。金のこと。誰にも言っていない、まだ決めていないこと。

どれも、大浴場の脱衣所では言えません。

言えないまま帰ると、次に会う約束が、なんとなく決まらなくなります。

湯と食事が、他の客から離れているかどうか。選ぶ基準は、それだけで足ります。

8軒を、湯の離れ方と膳の離れ方で並べ、日取りで選ぶ二軒を最後に置きました。

湯が、貸切で閉じている

湯の離れ方から入ります。湯宿 草菴と、季さら別邸 刻〜TOKI〜です。

湯宿 草菴は貸切風呂が5か所あり、深い話を誰にも聞かれずに済ませられます。刻は全10室が離れ棟で、他の客と廊下ですれ違うことも少なくなります。

源泉の質にこだわる親友同士には、刻は向かない場合があります。温泉は源泉かけ流しではなく、源泉100%を加温しているため、湯温は安定して変わりません。長湯して話し込みたい側には、その安定のほうが都合よく働きます。

湯が、個室・貸切で選べる

湯が館内にあっても、枠で閉じられる側です。積善館(佳松亭・山荘)と、神話が息づく出雲ノ国 古代ロマンの宿 松園です。

積善館は大浴場4・露天2・貸切2の計8つに湯が分かれ、長湯しても混雑を気にしなくて済みます。松園は貸切風呂が2つあり、深夜まで話し込んでも湯を独占できる時間を作れます。

込み入った話を人に聞かれたくない親友同士には、積善館は向かない場合があります。食事は個室または会場食で、部屋タイプ・プランにより異なります。個室食を選べるかは、予約前に確かめることになります。

部屋食・個室食で、他の客と離れる

湯の次は、膳の側の離れ方です。下呂温泉 湯之島館と、静響の宿 山水です。

湯之島館は5万坪の敷地に本館・別館・洋館・景山荘が分かれ、部屋食で他の客と顔を合わせません。山水は個室での食事提供で、話が途切れても急かされません。

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信玄の湯 湯村温泉 常磐ホテルと、時音の宿 湯主一條

日取りと部屋の側で選ぶなら、この二軒です。

常磐ホテルは複数のプランがあり、平日でも予定を合わせやすい宿です。湯主一條は6部屋タイプに対応し、二人だけの部屋を選びやすくなります。

気疲れせずに、しっぽりできればいい

盛り上げる話題は、鞄に入れなくてかまいません。話が誰にも漏れない部屋があれば、それで足ります。ふすまを閉めたあとの声の高さは、二人が決めることです。

子育てが一段落してからなら友人と、子育てが一段落してから泊まる宿、気を遣わずに行きたいなら友人と、気を遣わずに泊まる宿があります。

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