本館へは、結局行かなかった。惜しいとは、思わなかった。
— 修一 | 『本館は、坂の下にある』
同期の一周忌で、次はどちらが先かという冗談を聞いた。従うことのない時刻表を読む癖のまま、私は行ったことのなかった松山・道後へ向かう。「せっかくだから」の理屈を手放した先で、何をせずに済ませるか。
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この宿に泊まる一晩を、小説にしてある。
本館へは、結局行かなかった。惜しいとは、思わなかった。
— 修一 | 『本館は、坂の下にある』
同期の一周忌で、次はどちらが先かという冗談を聞いた。従うことのない時刻表を読む癖のまま、私は行ったことのなかった松山・道後へ向かう。「せっかくだから」の理屈を手放した先で、何をせずに済ませるか。
測る対象のない時間を、僕は持て余した。持て余す、という感覚に名前をつけようとして、やめた。
— 大輔 | 『部屋を出ない理由』
妻を旅に誘うのに、理由を考えている自分に気づいた。理由なしで誘えばいいと分かっていて、それでも考えた。愛媛・道後温泉、部屋から一歩も出ない一泊へ、僕は妻と向かう。
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