分類できないものを、私は十一個持っている。
— 黒瀬慧 | 『非構造化データ、十一語目』
手帳の後ろの頁に、分類できない語彙が十個、集まったまま止まっている。私は由布院、一万坪の敷地に離れが点在する宿へ向かい、変数にならない残余と向き合う。撮って、確認して、消す——ある女性の指の動きに、私はどんな分類を与えられないままでいるか。
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この宿に泊まる一晩を、小説にしてある。
分類できないものを、私は十一個持っている。
— 黒瀬慧 | 『非構造化データ、十一語目』
手帳の後ろの頁に、分類できない語彙が十個、集まったまま止まっている。私は由布院、一万坪の敷地に離れが点在する宿へ向かい、変数にならない残余と向き合う。撮って、確認して、消す——ある女性の指の動きに、私はどんな分類を与えられないままでいるか。
「今度、実家のほうは」と姉が言った。声が、途中で止まった。
実家の近くに住み、母の通院の窓口をしている姉との電話は、いつも母の話が既定の内容だった。理由の無い誘いで、大分・由布院の宿へ二人で行くことにした。離れ・部屋食の宿で、母の話をしかけて自分で止める姉を、二度見た。
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