三十七ページの、三十八ページ目から。
— 千鶴 | 『茶色い湯の、名の由来』
十六年おいでだった仲居さんが、お辞めになりました。置いていかれた三十七ページの引き継ぎノートを読んで、私は有馬温泉、金泉の宿へ二日だけ休みをいただいて向かいます。跡の残る湯に浸かりながら、私は三十八ページ目に、何を書き継ぐか。
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この宿に泊まる一晩を、小説にしてある。
三十七ページの、三十八ページ目から。
— 千鶴 | 『茶色い湯の、名の由来』
十六年おいでだった仲居さんが、お辞めになりました。置いていかれた三十七ページの引き継ぎノートを読んで、私は有馬温泉、金泉の宿へ二日だけ休みをいただいて向かいます。跡の残る湯に浸かりながら、私は三十八ページ目に、何を書き継ぐか。
「有馬、行かないか」とだけ言った。理由は聞かなかった。
兄から電話が来た。法事の話ではなかった。理由を聞かない代わりに、二人だけで用事の無い場所へ行ったのはいつ以来か、考えた。思い出せなかった。実家の相続の話でなら、この一年で三度会っている。
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