湯は赤茶色で、腕を入れると肘から先が消えた。消えたところは、見えないだけで、ある。
— 有希 | 『説明はしない、と決める』
実家の片付けは半分残ったまま、急いでいません。法事の日取りを知らせる電話の最後に、身軽でいいわね、と言われました。私はそれに返事をしないまま、滋賀の山あいの、赤褐色の湯が湧く宿へ向かいます。彼岸の入りの前の、平日を一日。
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この宿に泊まる一晩を、小説にしてある。
湯は赤茶色で、腕を入れると肘から先が消えた。消えたところは、見えないだけで、ある。
— 有希 | 『説明はしない、と決める』
実家の片付けは半分残ったまま、急いでいません。法事の日取りを知らせる電話の最後に、身軽でいいわね、と言われました。私はそれに返事をしないまま、滋賀の山あいの、赤褐色の湯が湧く宿へ向かいます。彼岸の入りの前の、平日を一日。
祖母が、色を見て、これで大丈夫なのか、と聞いた。大丈夫です、と仲居が答えた。
祖母を誘うとき、初めて困った。あたしは車を持っていない。調べると、駅から宿の送迎があった。一人からでも二人でも乗れると分かり、滋賀・長浜、赤褐色のにごり湯の宿へ向かう。
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