宿と小説の読みもの、余白

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「やめると決めたのに、今月もまた続けている。」

夜話

やめようと思って、やめられずにいるものがある日に

止める釦を探して、次回を飛ばす釦のほうを押してしまう、そういう日に読む話を並べています。

並んでいるのは、実在の宿を舞台にした連載小説です。語り手は実在しません。

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止める釦を探して、次回を飛ばす釦のほうを押す。押しても来月また入るので、やめたことにも続けたことにもならない。次に指が動く日に一泊を入れて、画面を開いたまま出かけてみませんか。ここに並べたのは、自分で決めたことが思ったようには効かないまま発った、七つの話です。

止める釦を探して、飛ばす釦のほうを押している
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悠真IT企業勤務・推し活に生きる会社員

IT企業に勤める悠真は、通知の来なくなったものの更新を、毎月押し続けています。その画面に止める釦は無く、あるのは次回を飛ばす釦だけでした。その晩は、食べ終えてから、また更新の履歴の画面を開きます。

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書けたかを見るより、数え方を直すほうが早い
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作家志望

続けているのは、払うものだけとは限りません。作家志望の蓮は、一行書けたら湯に入っていい、という決まりを自分で作りました。書けたかを見るより、数え方を直すほうが早いと気づきました。その晩は、書けないまま決まりを直します。

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止めたはずの更新を、その日のうちに戻していた
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悠真IT企業勤務・推し活に生きる会社員

同じ悠真が、いちど止めた更新を戻します。活動が再開したのではありません。公開されていなかったものが一本増えた、という知らせが来ただけです。着いた晩は、通知の音のしない時間を、久しぶりに過ごします。

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出せばいいと思いながら、ノートを出さない
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作家志望

腹の立った一行から出かける晩もあります。この書き手は来年も応募してくるだろう、それが何よりの資質である、と選評にありました。蓮はその行を三度読みます。その道中は、ノートを出せばいいと思いながら、出しません。

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ほかに、蓮の別の晩が三つあります。どれも同じ人の、前後する日です。決まりを直すか、期限のほうを動かすか、そのどちらかをまた選ぶ日が並びます。

『型のある家で、型のない字を』 『二月末まで』 『十二時間』

今夜の一話

悠真 — IT企業勤務・推し活に生きる会社員 更新しない、を選ぶ 通知の来なくなったものに払い続けている男が、乗り継いだ先の、人のいない駅から車で宿へ入る。指の速さだけが、まだ変わらない晩である。 やめると決めたものを止められないまま出かける一日で、前の話を読んでいなくても分かります。
何に向かって押しているのか、写真を見ながら考えて、答えが出なかった。
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舞台になった宿

『一行書けたら、湯に入る』の舞台は、信玄の湯 湯村温泉 常磐ホテル。

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そのほかの話

この頁に五つある蓮の話は、人物録の蓮の頁から続けて読めます。

今夜の話の語り手 悠真

この状態に、ひとつ

入りの刻限と、分かっている宿の出の刻限を、宿ごとに並べてあります。

『一人で、区切りをつける宿』
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