宿と小説の読みもの、余白

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「休みは取れた。それで、何をすればいいのか分からない。」

夜話

休みが取れたのに、休み方が分からない日に

休みを取っても結局は仕事の画面を開いてしまう、そういう日に読む話を並べています。

並んでいるのは、実在の宿を舞台にした連載小説です。語り手は実在しません。

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休みは取れたのに、何をすればいいのかが分からない。予定の入っていない一日が落ち着かなくて、昼前には一度、仕事の画面を開いてしまう。そういう日は、いっそ外に出て、着くまで携帯を鞄の底に入れてみませんか。

休みの使い道を決めていた予定が、先に無くなった
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悠真IT企業勤務・推し活に生きる会社員

たとえば、IT企業に勤める悠真は、長く追いかけてきたものが止まって、休みの使い道を決めていた予定のほうが先に無くなりました。その晩は、うまいと思っても、携帯を出しません。流す先が、いま静かだからです。

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呼ばれなくなった時間のほうを、持て余している
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美咲介護と仕事を両立する会社員

でも、休み方が分からないのは、休みを取ったからとは限りません。介護と仕事を両立している美咲は、呼ばれなくなった時間のほうを持て余しています。その晩の美咲は、時計を見ないまま、乾きかけた手の甲の細かい線を眺めています。

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空けた午後のために、午前の段取りだけが細かくなる
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克彦早期退職した元管理職

一方で、休みを取ったのではなく、自分で午後を空けている人もいます。早期退職した元管理職の克彦は、空けた午後のために、午前の段取りだけが細かくなりました。その晩は、字の読めない明るさで手帳を開いて、書かずに閉じます。

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休ませる側にいて、自分の休み方だけが決まらない
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千鶴宿の仲居

同じ晩でも、休ませる側にいる人は、休みの取り方から違います。宿で客を迎える仲居の千鶴は、続けて休むと、初日の朝から客の着く時刻を数えています。泊まった先では、膳を運ぶ人の盆の置き方を、見るまいとしながら見ています。

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ほかに、悠真と克彦と千鶴の、別の晩の話が三つあります。三人とも、この頁ですでに紹介した人です。空いた時間をどう使うかを、その人がもう一度、自分で引き受け直す晩ばかりです。

『供給のない週末の現場』悠真 『いつでも行ける』克彦 『運ばれた湯』千鶴

今夜の一話

悠真 — IT企業勤務・推し活に生きる会社員 再現された住居で、供給を待たない 追いかけてきたものの休止が決まった週に、悠真は有給を取る。行き先を決めないまま、決め方が分からないという理由だけで、いっそ遠いところへ発つ晩である。 長く使ってきた数え方が急に使えなくなった人の一日で、前の話を読んでいなくても分かります。
決めていない、という状態が久しぶりで、かえって落ち着かなかった。
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舞台になった宿

『再現された住居で、供給を待たない』の舞台は、神話が息づく出雲ノ国 古代ロマンの宿 松園。

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そのほかの話

決めること自体に疲れた晩は、『決めることに疲れて、何も選びたくない日に』へ続けて読めます。

今夜の話の語り手 悠真美咲克彦千鶴

この状態に、ひとつ

一人で開いた画面に出てくる宿だけを並べたので、空いた平日が、そのまま一泊になります。

『一人で、平日を埋める宿』
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