宿と小説の読みもの、余白
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膳が客室に来る宿が3軒、個室の食事処が3軒ある。

3と、3と、2。八軒はこの三つに分かれます。一人で泊まると、食事の時間に他の客の目が気になることがあります。分ける物差しは、夕食の膳がどこに出るかです。客室に来るのが三軒、客室の外の個室に出るのが三軒、部屋タイプとプランを選ぶまで決まらないのが二軒で、全9室の静響の宿 山水から五十室を超える宿までが入ります。膳がどこに出るかは、価格帯の欄にも、地域の欄にも、評点の欄にも出てきません。宿の頁の食事の欄と部屋タイプの欄を開いて、はじめて分かります。

分かれるのは席であって、人ではありません。膳は運ばれてくるものですから、運ぶ人がそのたびに部屋へ入って皿を置き、器が空けば下げに来て、そのやりとりが夜のあいだに何度か重なります。誰とも顔を合わせない夜にはなりません。決まるのは、その相手が他の客か、宿の人かということです。

膳が、客室に来る

夕食が部屋に運ばれる三軒です。食事のために廊下へ出る用がありません。

下呂温泉 湯之島館は夕食も朝食も客室に出る宿で、建物が本館、別館、洋館、景山荘に分かれて建っていても、部屋がどの棟にあるかに関わらず膳はそこへ来ます。

大和屋別荘には温泉の内風呂や露天の付く客室があって、膳のためにも湯のためにも廊下へ出る用が減ります。陶泉 御所坊の大浴場は予約ページに半混浴とあるので、湯のほうは貸切風呂に寄せる選び方ができます。

膳がどこに出るかで選ぶと、その夜の順番が決まります。夕食の時刻と場所が決まれば、湯に入る時刻も、浴衣に着替える時刻も、それに合わせて前後へ並びます。価格や評点の欄からは、廊下を歩くのが食事の前なのか後なのかは読めません。

客室の外の、個室で待つ

膳は客室ではなく、食事処の個室に出る三軒です。席は他の客と分かれますが、そこまでは歩きます。

時音の宿 湯主一條の個室料亭は登録有形文化財の建物にあって、客室からその建物まで歩く時間が箸を取る前に一つ入ります。越前あわら温泉 つるやでは夕食も朝食も個室に出ます。

静響の宿 山水は全9室で、十津川村には鉄道が通っていません。十津川温泉のバス停から、15時以降に迎えが出ます。

部屋タイプとプランで、どちらになるか決まる

宿を選んだだけでは、膳の出る場所が決まらない二軒です。この二軒がここにいるのは、席が並ばないほうを選べるからであって、選ばなければ並びます。きのえ温泉 ホテル清風館には個室食のプランと大広間食のプランがあり、大広間食を取れば他の客と席が並びます。

必ず部屋食を確保したい人には、花巻温泉 佳松園は向かない場合があります。部屋食の対象がツイン・シングルルームを除く客室に限られており、部屋タイプによっては食事処での提供になります。

予約の画面で、決まること

膳の出る場所は、宿を選んだ時点では決まっていません。花巻温泉 佳松園はツインとシングルでは部屋食にならず、きのえ温泉 ホテル清風館には個室食のプランと大広間食のプランがあって、どちらになるかはプランと部屋タイプの側で決まります。宿を選んでも、プランを選ばなければ食事処になります。

見るのは、予約の画面です。

部屋食は、誰とも会わないという意味ではありません。膳が運ばれてくるたびに戸が開き、器が空けば下げに来て、そのたびにまた開きます。顔を合わせる相手が、同じ宿の客から宿の人に替わる。それだけのことです。

きのえ温泉 ホテル清風館の朝食は、バイキング形式だという宿泊者の書き込みがあるだけで、宿の案内には書かれておらず、ここは確認できていません。静響の宿 山水には、トイレが共同になる客室があります。夜のあいだに部屋の戸を開けて廊下へ出る用が、そのぶん残ります。

料金も食事の形も変わります。ここに並ぶのは掲載ページに書かれていたもので、現地で違っていることはあります。

待つ場所を変えると、別の八軒になります。棟ごと本館から離すなら誰にも会わずに、部屋へ帰れる宿、湯が沸くのを待つなら湯を沸かして使う宿があります。

膳と膳のあいだ

献立は書けます。何品出たかも、何時に始まったかも書けます。

書けないのは、膳と膳のあいだの時間です。

椀の蓋を取って、伏せて、置く。汁の湯気が細くなって途中から見えなくなり、次が来るまでのあいだ、何もしていないのに、待っているというほど待ってもいません。

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その時間の長さは、あとから思い出そうとしても出てきません。

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