宿と小説の読みもの、余白
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離れの宿を選べば、離れの部屋になる、と思っていた。

話は、離れの戸を閉めたところから始めます。閉めた側に何が残るかは、離れという語だけでは決まりません。離れを探す人が打ち込むのは、宿の名前ではなく、部屋の名前です。離れ、と書いてあれば離れだと思います。

ところが「離れ」は、造りの名前ではありません。宿とその予約ページが選んで使っている語です。

全室が離れなのか、部屋タイプで分かれるのか。8軒を、その違いで並べました。

「離れ」と書かれていて、全室がそうである

部屋タイプを選ぶ必要がない側からです。はなれ宿 善積の全6室も、季さら別邸 刻の全10室も、どの行を取っても棟がひとつになります。

本館と分かれた同じような棟が、ある宿ではコテージ型と書かれ、別の宿では離れ風の造りと書かれ、また別の宿では独立棟と書かれていて、どれも棟としては本館から離れています。逆に、離れと書いてある宿の全室が離れとは限りません。十七室のうち十一室でも、離れはある、と書けます。

だから確かめることになるのは、語ではありません。その語が何室を指しているか、です。

確かめる先は、部屋タイプの一覧に出ている語と、その語が何室に付いているかの二つです。本館と棟が分かれているかどうかは、そこにしか書かれていません。

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「離れ」と書かれているが、一部である

ここが取り違えの起きるところです。離れはあります。ただし、数が決まっています。亀の井別荘は約1万坪の敷地に全17室で、そのうち離れが11室、残る6室は本館の洋室であり、指定しなければそちらの部屋になります。

「離れ」以外の言葉で書かれている

コテージ型、離れ風の造り、独立棟。本館と分かれてはいますが、予約ページは離れとは書いていません。ここを言い換えないことになります。書かれていない語に置き換えた時点で、確かめる先が無くなります。

語のうしろに、由来が書かれている

棟が分かれている、という以上のことが書かれている一軒です。高志の宿 高島屋の離れ「竹亭」は移築してきた古民家で、本館のほうは江戸期の庄屋屋敷が国の登録有形文化財になっています。

先に知っておくこと

一部が離れの宿では、指定しないと本館の部屋になります。亀の井別荘は17室のうち11室、秘境 白川源泉 山荘 竹ふえは12室のうち8室で、予約の画面に出てくるのは宿の名前ではなく、部屋タイプの名前です。

言葉の違いが、設備の違いとは限りません。コテージ型と書かれている山荘 天の里も、離れ風の造りと書かれている大正屋 椎葉山荘も、棟は独立しています。逆に、離れと書いてあっても本館との距離は宿によって違い、そこまでは書かれていないので、何メートル歩くのかは確認できていません。

足元の悪さを避けたい読者には、湯山荘 阿讃琴南の「里山ヒュッテ」は向きません。山の斜面に建つ独立棟で、フロントから客室までの通路が屋外の坂道になっているため、湯へ行くにも食事に呼ばれるにも、そのつど戸を開けて外の空気の中を上り下りすることになります。

その歩きが要らない宿もあります。はなれ宿 善積は部屋食で、客室に露天風呂か内風呂があるので、膳も湯もひとつの棟の中で足り、着いて戸を閉めたあと、朝まで一度も外に出ずに済ませられます。

ここに並ぶのは各宿の掲載ページに書かれていた語で、表記が変わっていることはあります。

この一本が扱っていないこと

ここで並べたのは語の使い分けです。

全室が離れの宿だけを見るならどの部屋を取っても、離れになる宿、 本館のある宿で離れを取るなら離れを、指定して取る宿、 棟そのものの造りから選ぶなら棟の造りから、選ぶ宿があります。

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語が届かないところ

離れという語が書けるのは、棟が分かれている、というところまでです。本館から何メートル離れているかは書かれていませんし、夜、隣の棟の灯りが見えるかどうかも書かれていません。

予約の画面で確かめられるのは、語と、室数と、部屋タイプの名前です。

戸を閉めたときに何が聞こえなくなるかは、閉めてみるまで分かりません。

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