宿と小説の読みもの、余白
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祖父母と行くなら、館内を少し歩くくらいは平気だと思っていた。

その「少し」の正体から、話を始めます。祖父母との旅で負担になるのは、大きな移動ではありません。部屋から風呂まで、部屋から食事処までという、館内の短い距離の積み重ねです。転ばないよう気を配りながらの数十メートルは、健脚の人が感じるより遠い距離です。

だから、ここに並べた8軒は設備の有無ではなく、部屋の外に出る回数がどれだけ少ないかで選んでいます。

湯も食事も、部屋の中で

回数がいちばん少ない側からです。石葉と、秘境 白川源泉 山荘 竹ふえです。

石葉は全8室、各室に自家源泉の浴槽があり、夕朝食とも部屋食。湯も食事も部屋の外に出ずに済みます。竹ふえは客室内の囲炉裏で夕食・朝食とも提供されます。

階段や段差の少なさを最優先したい祖父母には、竹ふえは事前確認が要ります。全12室が起伏のある敷地に離れで点在しており、公式サイトにバリアフリー対応の記載はありません。

離れなら、なおさら短くなる

回数だけでなく、一回の距離も短くなる側です。はなれ宿 善積と、旅館 國崎です。

善積は全6室すべてが離れで部屋食、内風呂付客室もあります。國崎は夕食が部屋食で貸切風呂も複数、全10室と小規模なぶん、館内の移動距離そのものが短い宿です。

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部屋の中に、湯がある

距離の次は、湯の置き場所です。忘れの里 雅叙苑と、Onsen & Garden 七菜です。

雅叙苑はお風呂リビング付き客室があり、部屋の中で湯を済ませられます。七菜は1日3組限定で、1階部分がバリアフリー対応、エレベーターもあります。

歩かない選択肢を、残しておく

歩かない側を、最後に残しておきます。花巻温泉 佳松園と、皆美館です。

佳松園はツイン・シングルルームを除く客室が部屋食で、貸切風呂も複数あり、大浴場まで歩かない選択肢が残ります。皆美館は客室の温泉や露天風呂で滞在が完結し、庭を眺める以外に外へ出る用がありません。

皆美館は客室が1〜4階に分かれ、公式サイトにエレベーターの記載はありません。佳松園のツイン・シングルルームも、この並びには向きません。部屋食の対象外で、食事処まで歩くことになります。

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今のうちに、という気持ちがある

祖父母との旅を計画する人の中には、元気なうちに、今のうちに、という気持ちを持つ人がいます。それは事実として、ここに書いておきます。旅そのものは、特別なものでなくてかまいません。部屋の外に出る回数が少なければ、それだけで一晩は足ります。

親と行くなら親と、二十年ぶりに泊まる宿、きょうだいで行くならきょうだいと、水入らずで泊まる宿があります。

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