宿と小説の読みもの、余白
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貸切風呂があれば、好きなときに入れる、と思っていた。

その思い込みの中身から、話を始めます。貸切風呂があれば、好きなときに湯へ入れると思っています。自由になるのは、誰と入るかです。いつ入るかは、むしろ狭くなります。

借り切るとは、他の客が使っているあいだは入れないということでもあります。空いていれば入る。空いていなければ待つ。予約制の宿では、荷を解くより先に枠を押さえる段取りになります。

大浴場を持たない

館内の湯が、貸切と客室の風呂と露天だけで構成されている四軒です。

秘境 白川源泉 山荘 竹ふえの貸切風呂は8時から24時までの45分単位で、湯宿 草菴は貸切が5か所あり、15時から翌10時までのあいだなら好きな時刻に入れます。Onsen & Garden 七菜は築200年の古民家を使った全3室で、貸切は6時から23時、山荘 天の里の貸切3か所は15時から翌9時までです。

枠の刻み方は、宿ごとに違います。

貸切で湯を取ると、決まるものと、狭くなるものが同時に来ます。決まるのは誰と入るかで、脱衣所の籠は一つで足り、戸を引いて湯気の向こうを見たときにそこに他人の背中が無いことは、枠を取った時点で確定しています。狭くなるのはいつ入るかで、45分なのか一晩なのか、何時から何時までなのかという枠の刻みは、宿の側が持っています。値段の欄には、この交換のことは書かれていません。

大浴場は、湯を人で分けます。貸切は、湯を時間で分けます。どちらを選んでも他の客との兼ね合いは残り、形が変わるだけです。

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八軒を、大浴場を持っているかどうかで分けました。貸切にした理由では分けていません。宿がそれを書いていないからです。

大浴場と、貸切の両方を持つ

広い湯船もあり、借り切れる湯もある四軒です。

積善館は大浴場4、露天2、貸切2の計8つに湯が分かれていて、5時から25時まで使えますが、中之条駅からはバスで約40分かかり、送迎はありません。忘れの里 雅叙苑は、大浴場が男女別なのは12時から15時までで、それ以降は同じ湯船が貸切になります。

同じ湯船が、時刻によって別の使われ方をします。

先に知っておくこと

料金と質が貸切という言葉だけで揃うと考える読者には、この八軒のうち何軒かは向きません。湯山荘 阿讃琴南の貸切露天は追加料金制で、60分・90分の枠ごとに数千円を、宿泊の料金とは別に払って借りることになります。無料で開いている湯ではないので入るか入らないかは着いてから決めることになり、借りるたびに払うので、宿泊料金だけを並べても比べたことになりません。予約のときに確かめます。

空いていなければ待ちます。借り切るとは、他の客が使っているあいだは脱衣所の戸の外で待つということでもあり、枠が埋まっていれば、その日は入らずに終わります。

借り切れることと、湯の質は関係がありません。山荘 天の里で温泉として入れるのは貸切風呂だけで、その湯は加温であり、宿の案内にはかけ流しではないと書いてあって、客室の半露天のほうは温泉ではない普通の湯です。忘れの里 雅叙苑は、客室の風呂も大浴場も貸切も源泉100%です。借り切れるかどうかで、湯の質は測れません。

大友屋旅館の大浴場の利用時間は、案内する先によって食い違っていて、じゃらんnetは6時から22時、肘折温泉の公式ポータルは男女入れ替え制で24時間とあります。ここは確認できていません。

大浴場を持たない四軒では、大きな湯船に体を伸ばす夜にはならないので、広い湯に肩まで沈みたい日は、大浴場と貸切の両方を持つほうの四軒から選ぶことになります。

料金も湯の数も変わります。ここに並ぶのは掲載ページと調査記録に書かれていたもので、現地で違っていることはあります。

借り切らずに一人になる道もあります。湯を一つに絞るなら内湯で足りる宿、部屋の中に湯を持つならどの部屋にも、湯がある宿があります。

四十五分のうち

借りている時間は数えられます。45分か、一晩かです。

数えられないのは、そのうち何分を湯に浸かって過ごしたかです。戸を閉めて、脱いで、桶で流して、入る。上がって、濡れた板に座る。もう一度入る。

出るときに時計を見る人は、あまりいません。

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