宿と小説の読みもの、余白
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ランプの宿 青荷温泉は、送迎の出発時刻を宿へ直接確かめることになっている。

話は、改札を出て名前を呼ばれるまでの数秒から始めます。送迎がある、と書いてあると、そこから先は考えなくていい気がします。駅に着けば車が来る。荷物を持って歩かなくていい。

実際に起きるのは、少し違うことです。

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予約をすれば、迎えが来る

送迎が経路の最後の一区間を担っている七軒です。締切と時間帯は宿によって違い、時音の宿 湯主一條は白石蔵王駅からの無料送迎が三日前までの予約制、静響の宿 山水は十津川温泉バス停からの迎車が十五時以降と決まっています。

小川温泉元湯 ホテルおがわは、黒部宇奈月温泉駅か泊駅から宿の無料送迎で入ります。徒歩で到達できる立地ではないと記録にあります。

経路の最後の一区間だけ、時刻表が宿の側に移ります。その区間には公開された発車時刻がなく、かわりに予約があります。何時に着くと伝えたところから、その一泊の段取りはもう始まっています。

東京を出てから、新幹線が在来線に、在来線が路線バスに替わり、替わるたびに一段ずつ遅くなって、最後は自分の足になる、はずでした。この八軒では、その最後の一段だけを他人が運転します。こちらが時刻を決めていない区間が、経路の終わりに一つ残ります。

この軸で選ぶと、到着の時刻を先に宿へ渡すことになり、旅程が出発の前に固まります。かわりに、駅から先で荷物を持ち替えることも、バスの時刻表を読むこともなくなります。鉄道を降りたところで自分の手配は終わり、あとは乗って運ばれます。予約サイトの所在地の欄には、その一区間を誰が持っているかは書かれていません。

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分けたのは、送迎だけで着けるかどうかです。不便の度合いでは分けていません。便の本数は予約ページに書かれている事実ですが、不便かどうかは読む人によって違います。

便が、一日一往復と決まっている

和の宿 ホテル祖谷温泉の送迎バスは一日一往復で、大歩危駅を出るのは十五時十分です。

その一便に合わない旅程なら、大歩危駅から四国交通バスで約三十五分か、タクシーで約三十分になります。この一軒だけ、送迎だけでは完結しません。

向かないとき

思いついた当日には組めません。秘境 白川源泉 山荘 竹ふえ、大正屋 椎葉山荘、湯の澤鉱泉は送迎が事前予約制で、ランプの宿 青荷温泉は予約がないと運行しない場合があります。時音の宿 湯主一條の三日前という締切は、旅の形が出発の三日前に固まるということでもあります。

ランプの宿 青荷温泉は、送迎が何時に出るのかを予約のときに宿へ直接確かめることになっています。小川温泉元湯 ホテルおがわは、送迎の運行時刻も予約の要否そのものも、確認できていません。分からないものは、分からないと書いておきます。

その青荷温泉は、冬期の十二月一日から三月三十一日に路線バスが運行せず、国道102号の入口から宿までが一般車両通行止めになります。夏期の四月一日から十一月三十日に送迎バスと接続する黒石駅前発の路線バスも、十四時二十分発と十六時十五分発の二本しかなく、そのどちらかに間に合うように黒石まで行くことになります。最後の一段より、その手前の一段が先に本数を決めていて、何時の新幹線に乗るかはそこから逆に決まります。

大正屋 椎葉山荘は嬉野温泉駅のタクシーの台数が少なく、事前の配車を宿が勧めています。送迎を逃したときの代わりも、荷物を提げて駅前に立ってから、その場で拾えるとはかぎりません。

ここに並ぶのは各宿の掲載ページに書かれていたもので、運行は季節と天候で変わります。

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迎えの車にも、頼み方の違いがあります。一区間だけを頼むなら駅からの一区間を、宿の車に頼む宿、その時刻に乗れなかったときを先に見るなら送迎に乗れなくても、駅から届く宿があります。

待たれている時間

迎えの車は、こちらが着く前から駅にいます。

何分前から止まっていたかも、エンジンを切って待っていたのか、暖房を入れたまま窓を白く曇らせて待っていたのかも、どこにも書かれていません。書かれているのは、こちらが何時に着くかだけです。

改札を出て、名前を呼ばれるまでの数秒があります。

その数秒は、送迎の所要時間に入っていません。

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